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2020/9/27

金融市場の動きを見るのに、株式ばかりが採り上げられていますが、リスクを見るには低格付けの社債利回りを見るのが簡単です。信用リスクがより高いCCC格の利回りですが、2019年末は11.78%、コロナによる市場パニックで3月23日に19.93%を付けて、9月18日に11.57%と2019年末に戻ったところで、そこから徐々に上昇、9/24は12.21%となっています。まだ、米国経済が2019年末の水準まで戻った訳ではありませんから、前例のない金融緩和の効果もあって、金融市場がかなり楽観的になって来たことを示しています。格付けの低い債券は最も経済状況の悪化に敏感に反応します。足許の利回りボトムアウトがシグナルである可能性は十分にあります。金融市場の動向は警戒感を以てみた方が良いでしょう。低格付け債券利回り

この他にも、欧州ユニバーサルバンクの株価が再度低下して、歴史的最低水準での上下であることも留意する必要があるでしょう。ドイツ銀行等中国向け簿外資産も多いと指摘されています。資産内容の悪化が常に懸念材料である訳です。HSBCは香港問題の拡大から依然として株価低下が止まりません。

ユニバーサルバンク

一方、中国(中国は、世界で生産される銅の40‐50%を消費する、世界最大の消費国)の経済を良く反映する銅価格ですが、これも1ポンド(454グラム)で3.1ドルの高値でしたが、9/25は2.97ドルと3ドルを割り込みました。中国の経済が非常に強い回復として織り込んできましたが、日本の輸出からは、前年比漸くプラスになった程度で、過剰な評価であった可能性があり、今の銅価格の動きは、株価や低格付け債券利回りのように、注意喚起シグナルと言えるかもしれません。

銅価格

 

2020/9/23

 中国の非金融企業債務は減少方向で努力している筈でしたが、増加しており、2020年3月対GDP比で159%と2019年12月の149%から10%上昇しました。金額ベースでも、ドル換算で21.9兆ドルと過去最高額になっています。日本のバブル時が同様に非金融企業の債務残高の対GDP比は最高水準で149%でしたから、かなり厳しい状況であることは明らかです。

一方、中国の一般政府債務も徐々に増加してきました。2020年3月では、対GDP比で58%で、現状では絶対水準は低く、新興国の平均51%を若干上回る程度なのですが、中国経済担当の外資系エコノミストに聞いてみると、BISが発表している数字よりも実際にはもう20%多いのが一般政府債務の現実であると指摘されています。すると、実際には80%近い訳です。経済が不調な時期に金額ベースで、四半期で3000億ドルの一般政府債務増加が見られましたが、今回も2019年12月から2020年3月で、3100億ドルですから、同額程度の増加ではあります。

今後も、中国政府は景気支援のため、インフラ投資を中心に内需振興に加えて、長江流域の大洪水の復旧等に対する財政出動を続けると見られます。政府債務は更に拡大すると見ていいでしょう。徐々に中国の経済政策の自由度も、縮小していく運命にあります。

世界の債務状況

中国債務

(データのない時期はそのままグラフに表記)

 

2020/9/18

ドルは3月下旬から、多通貨全般に対してドル安基調が続いて来ました。ドル金利の低下が続いてきたためで、短期の3ヵ月金利も漸く下げ止まり感が出てきて、ドル・インデックス自体は横ばい圏に入ってきています。当面、金利要因で、更なる全般的なドル安の可能性は減少したと見ていいでしょう。

ドルインデックス

今回のドル高からの調整は、通常ではドル安を先導する円、スイスフランではなく、ユーロ、ポンド、豪ドル等の主要通貨がドル安を招きました。

ドル調整経緯20200918

 

ドル円の2年国債の金利差が、過去はドル円の水準の一つの尺度でした。この過去の回帰から割り出したドル円水準と現状水準の乖離をグラフにしたのが(緑の部分)次のものです。これから見ると現状のドル円は円安方向にバイアスがかかっていると言えます。これが、ドル安でも大した円高にならなかった抑止力。

 

2年金利差のバイアス

 

円の動きは今回の様にドルインデックスと必ずしもパラレルに動くわけではありません。逆に言えば、ユーロやポンド等が対ドルでの上昇の調整に入った時にクロス等も含めて、円とスイスフランに上昇バイアスがかけられる可能性があります。これまで、ドル円は比較的平静だったので、逆に要注意かと思います。

 

2020/9/13

日本は、国際的な競争力維持のため、法人税を下げてきました。その税制の恩典の中で、本当に法人或いは企業は効率的・効果的な投資をして、今、先端を行くアメリカのデジタル企業に伍する力を蓄えてきたのでしょうか?
法人の基本税率を見ても1985年では43.3%が現状では23.2%と20%も下がっています。

法人税率推移グラフ

  (財務省「法人課税に関する基本的な資料「より)
しかし、この税率引き下げの結果、経営に余力が生まれ、競争力がアップしたり収益力が改善した訳ではありません。
法人企業統計で、日本全体の企業の売上高営業利益率で見ると1985年10-12月期で3.9%、コロナ前で最も高いのは2018年4-6月期の5.28%で1.4%程度の収益率アップですが、効果は小さいですね。

資産効率

売上高利益率もあまり変わらず、資産効率は大幅に落ちています。

企業はキャッシュフローは増えたのですが、経常利益と減価償却の合計だけの粗キャッシュフローと設備投資の関係を見ても、1985年10-12月期68.1%、2013年から2019年前半までは40%を中心に上下する動きが続きました。要は、新規投資もせず、キャッシュを溜め込む経営であったことがわかります。これでは、イノベーションについていけません。コロナの影響で、テレワークがもてはやされていますが外資系では20年前から始まっています。

設備投資と粗キャッシュフロー
一人当たり人件費も1998年1-3月517万円をピークに2010年の7-9月405万円をボトムにして、2020年4-6月期に506万円となっています。ただ、この4-6月期はコロナを理由に雇い止め、解雇も多く、低い賃金の方々が多く切られているために残った方々の統計で表面上平均人件費が高く出ている面があります。これはアメリカも同様な動きです。

一人当たり人件費
企業の先に進めていく努力としてのお金の使い方が必要なのですが、これまでは、人材にも設備にも投資していない姿が浮かび上がります。低減された税制の中で、もっと有効にマネーを使った経営を望みたいと思います。資本を溜め込むのではなく、資本を有効活用するのが経営の責務の筈!

研究会開発費各国比較(OECD)

(資料:OECDデータに基づき科学技術・学術政策研究所が纏めたもの)

利益剰余金&純資産

これで、非正規雇用の拡大等から置いて行かれているのが家計であることは明らか。しかも格差は拡大してきた訳です。市場原理主義の修正が必要な時期に来たと思います。(図では中央値が重要です。平均ではありません)

世帯所得推移

 

2020/9/7

大きな三角持ち合いのドル円

リスクオンで米金利の緩慢な上昇も一時的にあると思われ上限108円/ドル、12月から来年を展望すれば円高と見ます。実質金利で円金利>ドル金利になっていますからこれがジワジワ効くと思います。又、地政学リスク顕在化もリスクオフを手伝う可能性があります。

3月以降のドル安(ドルインデックス下落)はユーロ、ポンド、豪ドルなどが中心で、常連のスイスフラン、円の動きは小さかったですね。でも今後はどうでしょう….

20200907為替の三角持ち合い

20200904実質金利

 

2020/9/6

米国株のヴァリュエーションはかなり高くなってきました。

米国30年債が3%に乗っていた2018年3Qとの比較では、現状の株価は、予想利益(12カ月先)要因はマイナス、金利低下要因(益利回りの大幅低下)が大幅であるという、ごくごく、当たり前の結果になります。

どうも、このまま上昇するのであればCyclicalなセクターも良くなっていく必要があると思うのですが、先日のPMI見ていると頭打ち状況になり始めていますね。かなり楽観的な部分を織り込んだと見ています。

米国株価の変動要因 米国株価指数の業績動向

2020/9/6

中国の領土・領海に関する野心的行動に対して、包囲網が作られて来ました。

国内外で対立する地域・国は赤い楕円で囲んでいる。徐々に態度を中国寄りから変えつつるのが△で示した国です。

これにFive Eyes(英・米・加・豪・ニュージーランド:米英が立ち上げ、UKUSA協定に基づく機密情報共有の枠組み。)が南シナ海の領有問題、香港問題について、中国と対立色を鮮明にしています。特に今年に入り、日米以外では、豪州の積極的な動きが目立ちます。インド、ヴェトナムは紛争での被害もあり、対中国の対立姿勢はさらに鮮明になっています。

7月上旬には2日間演習日が重なる形で中国・米国共に南シナ海で軍事演習し、今後、偶発的な衝突の可能性が高まる事案でした。

8/17~31に中国を念頭にRIMPAC(10か国参加の軍事演習)がありましたが、中国軍は25日から、台湾を念頭に東シナ海など4つの海域で異例の大規模な軍事演習実施して、南シナ海に向けて中距離弾道ミサイル4発を発射して、海南島と西沙諸島(=英語名・パラセル諸島)の間の海域に落下しましたが、更に緊張を高める事態となっています。

このように一部の事例を並べただけでも、かなり緊張が高まっているのがお分かりいただけると思います。金融市場は暢気ですが、地政学リスク=偶発的な紛争には備えておいた方が良いのではないかと思います。

対中国国内対立地域 対中国対立図 中国6月以降の動き

 

2020/8/30

東京都の8月消費者物価速報、食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合で、前年比-0.39%と4月以来のマイナス。デフレ圧力は非常に強い訳です。
東京都区部消費者物価202008
一方で、小さい動きですが、Economictが集計発表するコンセンサスベースの経済予測では2021年の米国についてごく僅かですがGDP成長率が上方修正されています。3.7%から4.0%。米金利も下げ止まり傾向の一つの手がかりですね。
米金利G20200830
Economist Forecast 202008
今次FRB議長のジャクソンホールの講演で、米国金融当局が金融緩和で意図するところは、期待インフレ率の引き上げであることが明確になりました。一部投資家は期待インフレ率の上昇を期待して長期並びに超長期金利の緩やかな上昇を予想する向きが、ここ2週間程度の中で、やや増えた感はあります。
 
一方で、東シナ海・南シナ海を巡る中国包囲網はかなり拡大し、固まってきた感があります。米国側と中国の軍事練習の応酬も偶発的な光線の可能性を高めています。9-10月はこのリスク顕在化もありうると見ています。
 
投資家はリスクのポジションを縮小すべきだと考えます・
 

 

2020/8/24 その1

世界の経済は一時の急激な悪化から一定の回復となっていますが、2019年の水準にはまだまだの状況というのが現状です。
その中で、労働・雇用というのはどうなるのでしょう。今回のウィルスの経験をきっかけにそれまで緩やかに起こっていたデジタル化が急速に進む展開になっています。例えば、テレワーク等は私が10年間勤めていた外資系では、20年前から始まっていました。頻度は極めて少なかったのですが、世界中どこでも会社の自分のアカウントにアクセス出来て仕事もできた訳です。この進みが先進国の中で最も遅い国の一つであるい事は間違いありませんが、漸く今回のことで経営陣・中間管理部門も理解し、対応し始めたということでしょう。
このデジタル化で、最も雇用という意味で影響を受けているのは、ノウハウ別に3分類、低いスキル、中くらいのスキル、高いスキルと区分すると中位・平均的なスキルの人々の職が顕著に奪われています。ここはデジタル化で機械やシステムに取って代わられ、その効率アップ効果が顕著だからです。この傾向はOECDの2017年の調査そして今年の調査Employment Outlookでも、顕著ですが、コロナの影響がシステム化を促してさらに中間的なスキルの人の職を更に縮小させていることが世界的な統計で明らかになっています。例えば、現在の経理財務部門が15人の会社では3人から数人程度で仕事が済んでしまうような、知的労働のオートメーション化とされる波が訪れている訳です。With Corona そして、After Coronaの世界で、様々な職業の方々も、今後の働き方・職場の在り方について十分にリスク分析をしておくべき、変革期だという認識が必要でしょう。、

2020/8/24 その2

上記の通り、OECDのデータ。今回のコロナ・パンデミックを契機にこれまで長期に起こってきた職業上のスキル二極分化が更に進むことになっています。社会の階層化も更に進み、中間層が少なくなる社会は必ずしも良いこととは言えないでしょう。現状のデジタル技術では、多くの「普通の仕事」がシステムに代替されていきます。

但し、例えば介護看護から教育、更にエンターテインメント、おもてなし(Hospitaliry)に関係する産業に至るまで、人が人に対峙してその関りの中で仕事を行うということは米国の例でも見えるように必然だと思われます。但し、そういう職のサラリーは低いものが多いことも事実です。それから生まれる所得格差の問題も大きくなります。そういう意味では、所得移転をどう行うかが今後の大きな課題になるでしょう。ベーシックインカムは社会の仕組みとして一つの選択肢だと思っています。

グラフのスキルの定義は以下の通りです(簡易訳しています)

 ハイスキル:公的私的な分野での上級職、マネージャー、プロフェッショナル、技術者とこれらに関係するプロフェッショナル
 ミドルスキル:従業員、技能工・同周辺の取引取引を扱う職、設備機械のオペレーター、組立加工従事者
 ロースキル:サービス労働者と店舗セールス・市場におけるルートセールス、単純作業従事者・手作業従事者等

労働スキル構成比の変化 労働スキルでのオンライン求人の変化2020

 

2020/8/20

取り敢えず、現状では、中国はコロナ以前の経済活動レベルであることは、輸出からも見える処です。アジアは依然として厳しい状況ですので、ドルのはまだ終わらない可能性があります。ユーロ圏・米国は前月同様不冴え。

 

 

20200820貿易アジア 20200820貿易ユーロ圏 20200820貿易米国20200820貿易中国 

2020/8/16

日本の消費者心理とリテール供給者側のギャップが次の2指標の差に現れています。

消費者心理が実態でしょう。供給者側は期待感が高くなっています。

20200816景気ウオッチャー 20200816消費者態度指数

 

2020/8/15

米国金利が短期的な意味で、取り敢えずの底を打ったようです。コロナ感染拡大にもかかわらず、経済指標は取り敢えずの回復基調維持で、市場のインフレ見通しも若干強い方にシフトしたと判断できます。超長期の利回りほど短期的には要注意でしょう。ドル金利の低下を織り込んだドル売りも一旦収束ではないかと思っています。
一方、緊急でドルを供給したドルスワップライン、残高が減ってきましたがそろそろ減少が止まってきました。急拡大した緊急のドル需要も減少してきて、現状は横這い圏に入ったように見えます。感染で又経済活動が縮小するとこれも増えることになりますが…

20200815ドルスワップライン実施状況 20200815ドルインデックスと米金利